〜日本人の食卓を支えてきた小さな豆〜
『神の国 日本の食と霊性』を読んだことをきっかけに、日本人が昔から大切にしてきた「食」について書いています。
旬の食材、味噌、梅干し、水、日本茶と続き、今回は**「大豆」**について考えてみたいと思います。
大豆は、小さな一粒の豆です。
けれども、私たち日本人の食卓を見渡してみると、大豆から作られた食品が驚くほどたくさんあることに気づきます。
豆腐、納豆、味噌、醤油、きな粉、油揚げ、高野豆腐……。
大豆は形を変えながら、昔から私たちの食生活を支えてきたのですね。
「畑の肉」と呼ばれる大豆
大豆は「畑の肉」と呼ばれることがあります。
その理由の一つは、植物性食品の中ではたんぱく質を豊富に含んでいることです。
たんぱく質は筋肉だけではなく、皮膚や髪、身体の中で働く酵素など、私たちの身体をつくるために欠かせない栄養素です。
特に年齢を重ねてくると、筋肉量を維持するためにも、毎日の食事でたんぱく質をきちんと摂ることが大切になります。
肉や魚、卵、乳製品などとともに、大豆や大豆製品も上手に取り入れていきたいですね。
朝食にも大豆製品を
「朝はパンとコーヒーだけ」
そんな方もいらっしゃるかもしれません。
でも、朝食にもたんぱく質を意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
例えば、
ご飯と納豆。
お味噌汁に豆腐。
パンの日なら、豆乳などを組み合わせることもできます。
大切なのは「大豆だけをたくさん食べる」ことではなく、魚、肉、卵、乳製品なども含め、いろいろな食品からバランスよくたんぱく質を摂ることです。
毎日の食事の中で、無理なく続けられることが一番ですね。
発酵によって姿を変える大豆
大豆の面白いところは、加工や発酵によって、さまざまな食品に生まれ変わることです。
味噌。
醤油。
納豆。
同じ大豆から作られていても、味も香りも食感もまったく違います。
以前の「味噌」の回でも触れましたが、冷蔵庫のなかった時代から、日本人は発酵の力を上手に利用してきました。
自然の働きを利用し、食材をおいしく、保存しやすい形へ変えていく。
そこには、長い年月をかけて受け継がれてきた先人たちの知恵があります。
大豆と腸内環境
大豆には食物繊維なども含まれています。
また、納豆や味噌など、大豆から作られる発酵食品もあります。
最近は「腸と心の関係」について耳にする機会も増えてきました。
ただし、「大豆を食べれば腸が整う」「発酵食品を食べれば心まで整う」と単純に考えるのではなく、野菜、果物、海藻、きのこ、穀類など、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。
身体は、一つの食品だけでつくられているわけではありませんものね。
大豆に含まれるイソフラボン
大豆には「大豆イソフラボン」という成分も含まれています。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持つことで知られ、特に女性の健康との関係について研究されています。
ただし、これも「多く摂れば摂るほどよい」というものではありません。
普段の食事として豆腐や納豆、味噌などを楽しむことと、成分を濃縮したサプリメントなどを摂ることは分けて考えたいですね。
健康のために特定の成分だけを追いかけるのではなく、毎日の食事全体を見ることを私は大切にしたいと思っています。
「一粒の大豆」から広がる日本の食
改めて考えてみると、大豆という一つの食材から、
豆腐になり、
納豆になり、
味噌になり、
醤油になり、
きな粉にもなる。
本当に不思議ですね。
そして、味噌汁、冷奴、納豆ご飯、煮物など、私たちが昔から食べてきた何気ない料理の中に、大豆はずっと存在してきました。
新しい健康食品を探さなくても、昔から身近にあった食品を見直すことで、食生活を整えるヒントが見つかることがあります。
「いただきます」の向こう側
大豆一粒が私たちの食卓に届くまでには、土があり、水があり、太陽があります。
種をまき、育て、収穫する人がいます。
さらに、豆腐や味噌、醤油などへ加工する人たちがいます。
そう考えると、一粒の大豆にも、たくさんの自然の恵みと人の手が関わっていることに気づきます。
「いただきます」
いつも何気なく口にしている言葉ですが、その向こう側にあるものを少し想像してみる。
それも、食を大切にすることの一つではないでしょうか。
食べることは、身体をつくること。
食べることは、心を整えること。
そして食べることは、自然と人から受け取った恵みをいただくこと。
今日の食卓に、豆腐や納豆、お味噌汁など、大豆から作られたものはありますか?
身近すぎて普段は意識しない大豆。
今度いただくときには、
「この小さな一粒から、こんなに豊かな日本の食文化が生まれたのだな」
と、少し思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心と食のアドバイザー 万寿(マス)

