〜一杯のお茶から心と身体を整える〜
『神の国 日本の食と霊性』を読んだことをきっかけに、日本人が昔から大切にしてきた「食」について書いています。
旬の食材、味噌、梅干し、そして前回は「水」についてお伝えしました。
今回は、その水とも深いつながりのある**「日本茶」**について考えてみたいと思います。
皆さんは、一日に何回くらいお茶を飲まれますか?
食事のあとに一杯。
誰かが訪ねてきたときに一杯。
少し疲れたときに一杯。
日本人の暮らしの中には、昔からお茶のある風景がありました。
日本茶にもいろいろあります
ひとことで日本茶といっても、煎茶、玉露、番茶、ほうじ茶、玄米茶、抹茶など、さまざまなお茶があります。
実は、煎茶や玉露、ほうじ茶などの多くは、同じ「チャ」の葉から作られています。
栽培方法や摘み取る時期、蒸し方、焙煎などの違いによって、色や香り、味わいの異なるお茶になるのです。
昔から受け継がれてきた知恵によって、一枚の茶葉からさまざまな楽しみ方が生まれたのですね。
日本茶に含まれる成分
緑茶には、カテキンと呼ばれるポリフェノールが含まれています。
また、カフェインや、うま味に関係するアミノ酸の一種「テアニン」なども含まれています。
これらの成分については、健康との関係がさまざまに研究されています。
ただし、お茶も「たくさん飲めば飲むほど健康になる」というものではありません。
特定の食品や飲み物だけに健康効果を求めるのではなく、毎日の食事や運動、睡眠など、生活全体を整えることが大切ですね。
また、緑茶にはカフェインが含まれていますので、カフェインに敏感な方や夜の睡眠が気になる方は、飲む時間や量にも気をつけたいところです。
「お茶にしましょうか」の優しい時間
私は、日本茶の良さは栄養成分だけではないと思っています。
「ちょっと、お茶にしましょうか」
この言葉を聞くだけで、どこかほっとしませんか?
仕事や家事の手を休めて、お湯を沸かす。
急須に茶葉を入れる。
お湯を注いで、ゆっくり待つ。
湯気とともに立ち上がる香りを感じながら、お茶をいただく。
ほんの数分のことですが、忙しく動いていた心と身体に「休んでいいですよ」と伝える時間にもなるように思います。
日本茶とマインドフルネス
前回の「水」のお話でも、ゆっくり一杯の水を味わうことについて触れました。
日本茶なら、さらにいろいろな感覚を味わうことができます。
茶葉の色を見る。
お茶の香りを感じる。
湯呑みの温かさを手で感じる。
一口含み、苦味や渋味、うま味を味わう。
そして、ゆっくり息を吐く。
こうして「今、この一杯のお茶」に意識を向けることも、日常生活の中でできるマインドフルネスの一つです。
難しいことをしなくても、私たちの昔ながらの暮らしの中には、心を静かにする時間があったのかもしれません。
お茶は人と人をつないできた
お茶には、もう一つ素敵なところがあります。
誰かが家を訪ねてきたとき、
「お茶でもどうぞ」
とお出しする。
家族や友人とお茶を飲みながら話をする。
お茶は、単なる飲み物ではなく、人と人との間をつなぐ役割も果たしてきたのではないでしょうか。
温かいお茶を囲むと、不思議と会話もゆっくりになります。
誰かと一緒にいただく一杯のお茶には、栄養成分だけでは測ることのできない豊かさがありますね。
「一服のお茶」を大切に
現代は、とても便利になりました。
ペットボトルのお茶を買えば、いつでもすぐに飲むことができます。
もちろん、それも便利でありがたいことです。
でも、ときには急須でお茶を淹れてみる。
お気に入りの湯呑みを使ってみる。
香りを感じながら、何もせずに一杯のお茶をいただいてみる。
そんな時間があってもよいのではないでしょうか。
健康のために何か特別なことを始める前に、昔から日本人が大切にしてきた日常の中に、心と身体をいたわるヒントを見つけることもできます。
一杯のお茶に「ありがとう」
お茶の葉を育ててくださった方。
雨や太陽、大地。
そして前回お話しした「水」。
さまざまな恵みが重なって、私たちは一杯のお茶をいただくことができます。
そう考えると、いつも何気なく飲んでいるお茶も少し違って見えてきます。
食べることは、身体をつくること。
食べることは、心を整えること。
そして、一杯のお茶を丁寧にいただくことも、自分を大切にする時間。
忙しい一日の中で、ほんの10分でも構いません。
スマートフォンを置いて、お茶の香りを感じながら、ゆっくり一杯いただいてみませんか?
「今日も一日ありがとう」
そんな気持ちでいただく日本茶は、いつもより少しおいしく感じられるかもしれません。
きょうも最後までお読みいただきありがとうございました。
心と食のアドバイザー 万寿(マス)

