〜日本人が受け継いできた発酵食〜
前回は、『神の国 日本の食と霊性』を読んで感じたことから、「旬の食材をいただく意味」について書きました。
今回は、日本の食卓に昔から欠かせなかった**「味噌」**について考えてみたいと思います。
私は食育について学び、長年「食べることは身体だけでなく、心にもつながっている」ということをお伝えしてきました。
そんな私にとって、改めて見直したい日本の伝統食の一つが味噌です。
昔から日本人の食卓にあった味噌
「ご飯とお味噌汁」
私たち日本人にとって、とても馴染みのある組み合わせですね。
子どもの頃、朝になると台所からお味噌汁の香りがしてきた、という方も多いのではないでしょうか。
味噌は、大豆などに麹と塩を加え、発酵・熟成させて作られます。
米味噌、麦味噌、豆味噌など、地域によって材料や味わいも違います。
同じ日本の中でも、その土地の気候や食文化によってさまざまな味噌が生まれてきたことを考えると、とても興味深いですね。
大豆の栄養をいただく
味噌の主な原料である大豆は、植物性たんぱく質を含む食品です。
たんぱく質は、筋肉だけではなく、皮膚や髪、酵素など、私たちの身体をつくるために欠かせない栄養素です。
特に年齢を重ねると、筋肉を維持するためにも毎日の食事からたんぱく質を摂ることが大切になります。
ただし、味噌だけで必要なたんぱく質を十分に摂ろうとするのではなく、魚、肉、卵、大豆製品など、いろいろな食品と組み合わせていきたいですね。
発酵という先人の知恵
味噌の大きな特徴は「発酵食品」であることです。
冷蔵庫のなかった時代から、日本人は発酵の力を上手に利用して食べ物を保存し、おいしくいただいてきました。
味噌だけではありません。
醤油、酢、納豆、漬物など、日本の食卓には発酵食品がたくさんあります。
今では発酵食品と腸内環境との関係についても研究されています。
ただ、「味噌を食べれば腸が必ず良くなる」「病気を防げる」と単純に考えるのではなく、野菜、海藻、豆類、穀類なども含めた食事全体のバランスを大切にしたいと思います。
一杯のお味噌汁から始めてみる
お味噌汁の良いところは、いろいろな食材を一緒にいただけることではないでしょうか。
豆腐、わかめ、きのこ、大根、にんじん、玉ねぎ、ねぎ、里芋……。
季節の野菜を入れれば、前回お話しした「旬の食材」も自然に取り入れられます。
例えば秋なら、きのこや里芋、さつまいもなどを入れた具だくさんのお味噌汁もおいしいですね。
一杯のお味噌汁の中に、
「大豆」「発酵食品」「海藻」「旬の野菜」
などを組み合わせることができます。
忙しいときこそ、具だくさんのお味噌汁を一品加える。
それだけでも食卓が豊かになります。
気になる「塩分」は?
味噌というと、「塩分が多いから控えた方がいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
確かに、味噌には塩分が含まれています。
ですから、「身体によいから」とたくさん摂ればよいわけではありません。
お味噌汁を作るときには、だしの旨味を生かしたり、野菜やきのこをたっぷり入れたりすると、濃い味付けにしなくてもおいしくいただけます。
健康のためには、一つの食品を「良い」「悪い」と決めるのではなく、量と食事全体のバランスを見ることが大切だと思います。
お味噌汁をいただくと「ほっとする」
栄養とは少し違うお話ですが、温かいお味噌汁を飲んだとき、
「ああ、おいしい」
と、ほっとした経験はありませんか?
湯気が立ち、だしと味噌の香りがする。
お椀を手に持ち、温かさを感じながらゆっくりいただく。
そんな時間は、単に栄養を摂るだけではなく、心を落ち着かせる時間にもなります。
私は心理や呼吸、マインドフルネスについても学んできましたが、「今ここ」に意識を向けることは特別な場所でしかできないものではありません。
食事の香り、温かさ、味を感じながらゆっくりいただくことも、一つのマインドフルな時間になるのではないでしょうか。
昔ながらの食卓には知恵がある
健康に関する情報が、毎日のように入ってくる時代になりました。
「あれが身体にいい」
「これは食べない方がいい」
「この栄養素を摂りましょう」
情報が多すぎて、何を食べればよいのかわからなくなることもあります。
そんなとき私は、昔から日本人が食べてきたものを、もう一度見直してみることも大切なのではないかと思います。
ご飯、お味噌汁、旬の野菜、大豆製品、魚、海藻……。
もちろん昔の食事がすべて理想的だったということではありません。
現代の栄養学の知識も取り入れながら、先人たちが残してくれた食の知恵を、今の暮らしに合った形で受け継いでいく。
それが私の考える「食育」の一つです。
食べることは、身体をつくること。
食べることは、心を整えること。
そして、食べることは、受け継がれてきた知恵を次の世代へつないでいくこと。
今日のお食事に、温かいお味噌汁を一杯添えてみませんか?
そして、いつもより少しゆっくり味わってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心と食のアドバイザー 万寿(マス)

