〜自己受容と自己肯定感〜

前回は「人に振り回されない生き方〜自分軸と他人軸の違い〜」についてお話ししました。

今回は、その自分軸を育てるうえでも大切な「自己受容」と「自己肯定感」について考えてみたいと思います。

皆さんは、「自分を大切にしてくださいね」と言われたことはありませんか?

でも、いざ「自分を大切にするって、どういうこと?」と聞かれると、意外と答えるのが難しいかもしれません。

好きなものを食べること?

旅行に出かけること?

自分の好きなことをすること?

もちろん、それらも自分を大切にする方法の一つです。

でも、もっと大切なことがあります。

それは、自分の気持ちを認め、ありのままの自分を受け入れることです。

私たちは、自分に厳しすぎませんか?

例えば、こんなことはありませんか?

「もっと頑張らなければ」

「こんなことで落ち込むなんて、私は弱い」

「あの人は何でもできるのに、私は……」

「人に迷惑をかけてはいけない」

私たちは、知らず知らずのうちに自分に厳しい言葉をかけていることがあります。

特に、長年家族や周囲の人を優先してこられた方は、自分のことを後回しにするのが当たり前になっているかもしれません。

人には優しい言葉をかけられるのに、自分にはなかなか優しくできない。

そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。

でも、自分を責め続けていては、心が疲れてしまいます。

そこで大切になるのが「自己受容」です。

自己受容とは?

自己受容とは、良いところも、苦手なところも含めて、今の自分を認めることです。

例えば、何か失敗したとき、

「私は本当にダメな人間だ」

と自分を責めるのではなく、

「失敗してしまったけれど、そんなこともあるよね」

「次はどうすればいいか考えてみよう」

と受け止めることです。

また、悲しいときには、

「こんなことで悲しんではいけない」

と思うのではなく、

「私は今、悲しいんだね」

と、自分の感情を認めてあげることです。

自己受容は、何でも自分を甘やかすことではありません。

失敗や課題があれば、改善していくことも大切です。

ただし、失敗した自分まで否定する必要はないのです。

自己肯定感とは?

では、自己肯定感とは何でしょうか?

自己肯定感とは、一般的に、自分には価値があると感じ、自分自身を肯定的に受け止められる感覚のことです。

例えば、

「私にも良いところがある」

「完璧ではないけれど、私は私でいい」

「私の気持ちも大切にしていい」

と思えることです。

ここで大切なのは、何かができるから価値があるのではない、ということです。

仕事ができるから。

家事が得意だから。

人から褒められるから。

そうしたことだけで、自分の価値が決まるわけではありません。

年齢を重ね、以前のようにできないことが増えたとしても、その人自身の大切さが失われるわけではないのです。

自己受容と自己肯定感の違い

この二つは似ていますが、少し違いがあります。

自己受容は、

「できないことがあっても、今の自分を認めること」

自己肯定感は、

「そんな自分にも価値があると思えること」

と考えると、分かりやすいかもしれません。

例えば、料理を失敗してしまったとします。

「今日はうまくできなかった。でも、そんな日もあるわね」

と受け止めるのが自己受容。

「料理を失敗したからといって、私の価値が下がるわけではない」

と思えることが、自己肯定感につながります。

まずは自分を否定せずに受け止めること。

それが、自分を大切にする第一歩になるのではないでしょうか。

人と比べることを少し手放してみましょう

私たちは、つい人と自分を比べてしまいます。

「あの人はいつも元気でいいわね」

「あの人は何でも上手にできる」

「それに比べて私は……」

でも、人にはそれぞれ違った人生があります。

育ってきた環境も、経験してきたことも、得意なことも違います。

そして、他人の目に見える部分が、その人のすべてではありません。

人と比べて落ち込んだときは、

「私は私のペースでいい」

と、自分に声をかけてみてください。

昨日の自分より少しできたこと。

今日、頑張ったこと。

そんな小さなことにも目を向けてみましょう。

自分を大切にするための3つの習慣

では、日常生活の中で、どのように自分を大切にしていけばよいのでしょうか?

① 自分の気持ちを否定しない

悲しいときは、悲しい。

腹が立ったときは、腹が立つ。

疲れたときは、疲れた。

まずは、そんな自分の気持ちを認めてあげましょう。

感情そのものに、良いも悪いもありません。

「そう感じているんだね」

と、自分に優しく声をかけることから始めてみてください。

② 自分に優しい言葉をかける

もし大切な友人が失敗して落ち込んでいたら、皆さんはどんな言葉をかけますか?

きっと、

「そんなに自分を責めないで」

「よく頑張ったね」

「また次があるわよ」

と、優しく励ますのではないでしょうか。

その言葉を、自分自身にもかけてあげてほしいのです。

自分をいたわることは、心の健康を支える大切な習慣です。

③ 自分の心と身体の声を聞く

疲れているのに無理をしていませんか?

本当は休みたいのに、頑張り続けていませんか?

自分を大切にするということは、心だけでなく身体を大切にすることでもあります。

栄養のある食事をとる。

十分な睡眠を心がける。

身体を無理なく動かす。

そして、疲れたときには休む。

そんな当たり前のようなことも、自分を大切にする行動なのです。

呼吸を通して自分と向き合う時間

私は、ヨガや呼吸法、瞑想を通して、自分自身の心と身体に意識を向けることの大切さを感じています。

忙しい毎日では、どうしても周りのことが優先になり、自分の気持ちを見失いがちです。

そんなときは、ほんの数分でも構いません。

静かに座り、ゆっくり呼吸をしてみましょう。

息を吐きながら肩の力を抜き、

「今日の私は、どんな気持ちかな?」

と問いかけてみます。

嬉しい気持ちでも、悲しい気持ちでも、疲れた気持ちでも大丈夫。

無理に変えようとせず、まずは気づいてあげることです。

その小さな積み重ねが、自分を理解する時間になっていきます。

これからの人生こそ、自分を大切に

50代、60代、70代。

これまで家族のため、仕事のため、周囲の人のために頑張ってこられた方も多いと思います。

でも、これからは、自分自身の幸せにも目を向けてみませんか?

誰かの期待に応えることだけが、人生ではありません。

何かを成し遂げなければ、価値がないわけでもありません。

頑張れる日もあれば、頑張れない日もあります。

元気な日もあれば、落ち込む日もあります。

そんな自分を含めて、

「これが今の私。そんな私も大切にしていい」

と思えるようになったら、少し心が軽くなるのではないでしょうか。

自分を大切にすることは、わがままではありません。

自分を認め、自分をいたわり、自分の気持ちに耳を傾けること。

そして、自分の人生を、自分らしく歩んでいくことです。

あなたは、誰かと比べなくても、そのままで大切な存在です。

今日から少しずつ、自分自身にも優しくしてあげてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

心と食のアドバイザー 万寿(マス)