〜日本人が受け継いできた保存食の知恵〜
これまで『神の国 日本の食と霊性』を読んで感じたことから、「旬の食材」「味噌」について書いてきました。
今回は、昔から日本人の食卓で親しまれてきた**「梅干し」**について考えてみたいと思います。
白いご飯の真ん中に、赤い梅干し。
それだけで、どこか懐かしい日本の食卓を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちにとってあまりにも身近な梅干しですが、改めて考えてみると、そこには先人たちの素晴らしい知恵が詰まっています。
梅干しは昔ながらの保存食
梅干しは、梅の実を塩漬けにし、天日干しするなどして作られてきた日本の伝統的な保存食です。
冷蔵庫もなかった時代、人々は自然の恵みを無駄にせず、できるだけ長く食べられるよう、さまざまな工夫をしてきました。
味噌、漬物、干物、そして梅干し。
今のように便利ではなかったからこそ生まれた知恵が、現代の私たちの食卓にも受け継がれているのですね。
あの「酸っぱさ」の正体は?
梅干しを口に入れたときの、あの酸っぱさ。
想像しただけでも、口の中に唾液が出てくるような気がしませんか?
梅にはクエン酸などの有機酸が含まれています。
クエン酸は私たちの身体のエネルギー代謝にも関わる成分です。
梅干しは、昔から健康に必須の食材として重宝されてきました。
「梅干しの七徳」「梅干しは三毒を消す」「梅干しの難逃れ」など様々な功徳がある食材として愛されてきました。
殺菌作用、病気予防、強肝作用、食欲増進、消化促進作用、疲労回復作用、筋肉の乳酸生成抑制作用、抗酸化作用など、様々な薬効があることが知られています。
昔ながらの梅干しを上手に取り入れていきたいですね。
ご飯と梅干しという組み合わせ
炊きたてのご飯に梅干し。
とてもシンプルですが、昔から親しまれてきた組み合わせですね。
おにぎりの具としても定番です。
子どもの頃、遠足や運動会のお弁当に梅干しのおにぎりが入っていた、という方もいらっしゃるでしょう。
食べ物には、栄養だけではなく「記憶」もあります。
味や香りから、昔の食卓や家族との時間を思い出すことがあります。
食べることは、身体をつくるだけではなく、私たちの心や思い出ともつながっているのだと思います。
昔ながらの梅干しと、今の梅干し
スーパーへ行くと、今ではさまざまな種類の梅干しが並んでいます。
塩と梅を基本にした昔ながらのものもあれば、はちみつなどで味付けした食べやすいものもあります。
どちらが絶対によい、悪いということではなく、購入するときに一度、原材料表示を見てみるのも食育の一つだと思います。
「これは何から作られているのだろう?」
そんな小さな関心が、自分の食生活を見直すきっかけになります。
添加物が入っていない、或いは少ないものを選びたいですね。
梅干しは塩分にも気をつけて
昔ながらの梅干しは保存性を高めるために塩を使いますので、塩分を多く含むものがあります。
「昔から身体によいと言われているから、たくさん食べよう」という考え方ではなく、適量を楽しむことが大切です。
特に塩分を控えるよう医師などから指導を受けている方は、その指示を優先してください。
健康に良いといわれる食品であっても、
「たくさん食べれば、もっと身体に良い」
とは限りません。
これは梅干しだけではなく、どんな食品にも言えることですね。
「一粒の梅干し」から日本の食を考える
梅干しについて考えていると、私は「昔の人はすごいな」と思います。
季節になると実る梅を収穫し、塩に漬け、天日に干し、保存する。
自然の恵みを、その季節だけで終わらせず、後の季節まで大切にいただく。
そこには、自然を自分たちの都合だけで変えるのではなく、自然のリズムに合わせて暮らしてきた日本人の姿が見えてくるような気がします。
私も10年程前から6月になると自家製梅干しを作っていますが、ありがたいことに今はYouTubeで簡単にできる方法を教えてくれています。
毎年の出来具合が違うので楽しみになっています。
食べ物への感謝を忘れない
現代では、食べたいと思えば、多くの食品をいつでも手に入れることができます。
だからこそ、ときには立ち止まって、
「この食べ物は、どこから来たのだろう」
「誰が作ってくださったのだろう」
「どんな自然の恵みをいただいているのだろう」
と考えてみるのもよいのではないでしょうか。
「いただきます」という言葉には、そんな感謝の気持ちも込められているように思います。
一粒の梅干しにも、梅の木があり、太陽があり、水があり、作る人の手があります。
そう考えると、いつもの食卓も少し違って見えてきますね。
食べることは、身体をつくること。
食べることは、心を整えること。
そして食べることは、自然から命をいただくこと。
昔から受け継がれてきた梅干しを味わいながら、日本人が大切にしてきた食の知恵にも、少し心を向けてみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
心と食のアドバイザー 万寿(マス)

