花セラピーとは
皆さまは、お花を見て
「きれいだな」
「なんだか心がほっとするな」
と感じたことはありませんか?
お花には、言葉を使わなくても、私たちの心をやさしく和ませてくれる不思議な力があります。
今日は、私が学んできた**「花セラピー」**についてご紹介したいと思います。
花セラピーは、上手に生けることが目的ではありません
「お花を生ける」と聞くと、
「センスがないから……」
「生け花を習ったことがないから……」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、花セラピーでは、上手・下手は関係ありません。
決まった形に整えるのではなく、たくさんのお花の中から、
「今、この花が気になる」
「この色が好き」
という自分の感覚を大切にして、自由にお花を選び、自由に生けていきます。
選んだ花に、今の心が表れることがあります
不思議なことに、そのとき何気なく選んだ花や色、生け方などに、今の自分の心が表れることがあります。
普段、私たちは頭で考えることには慣れています。
「こうしなければ」
「こうするべき」
「人からどう思われるだろう」
そんなふうに、自分の本当の気持ちよりも、周囲のことを優先してしまうこともありますね。
ところが、お花を前にして、
「好きな花を自由に選んでください」
と言われると、頭ではなく、自分の感覚で選ぶことになります。
そこに、自分でも気づいていなかった心の状態が表れることがあるのです。
花を通して、自分の心に気づく
花セラピーの魅力は、何かを無理に話したり、答えを出したりするのではなく、花に触れながら自然に自分の心と向き合えるところにあると、私は感じています。
お花を選び、触れ、自由に生ける。
そして、出来上がった作品を眺めてみる。
その時間そのものが、忙しい日常の中で置き去りにしていた自分の気持ちに気づく時間になるのかもしれません。
花セラピーを体験された方の印象深いエピソード
これまで花セラピーをさせていただく中で、今でも心に残っている出来事があります。
ある男子高校生は、進路について悩んでおられました。
花セラピーでは、こちらから「こうした方がいい」と答えをお伝えするわけではありません。
自分で花を選び、自由に生け、出来上がった作品を眺めながら自分の心と向き合っていきます。
花セラピーを終えたあと、その高校生は、**「進む道を決めることができた」**と話してくださいました。
花と向き合う静かな時間の中で、自分の中にあった気持ちや答えに気づかれたのかもしれません。
もう一つ、忘れられない出来事があります。
ある女子中学生は、難関中学に入学し、初めての中間試験を経験したあと、お母さまと口論になってしまったそうです。
そんな気持ちを抱えた状態で花セラピーを体験されました。
ところが、花を選び、触れ、作品を完成させたあと、その女の子が言ったのです。
「この花、お母さんに持って帰ってプレゼントしよう」
私はその言葉がとても印象に残っています。
花セラピーを始める前には、お母さまとの口論で心がいっぱいだった女の子が、終わったときには「お母さんにプレゼントしたい」という気持ちになっていました。
花が何かを解決してくれた、と簡単に言うことはできません。
けれど、お花に触れ、自分の感覚で花を選び、自由に表現する時間が、張りつめていた心を少しゆるめ、自分自身の気持ちを見つめるきっかけになったのかもしれません。
私は、こうした場面に出会うたびに、花を通して自分の心と向き合う時間には、言葉だけでは得られない何かがあるのだなと感じています。
同じ花を使っても、作品はみんな違います
花セラピーをしていて、とても興味深いのは、同じようなお花を用意しても、出来上がる作品が一人ひとりまったく違うことです。
華やかに大きく生ける方もいれば、小さく可愛らしくまとめる方もいます。
まっすぐ高く伸ばす方もいれば、ふんわり横に広げる方もいます。
そこには正解も不正解もありません。
「これが今の私なんだ」
そうやって、自分の作品をそのまま受け止めることも、自分自身を大切にすることにつながっていくのではないでしょうか。
お花と過ごす時間を、心の休息に
私自身、花セラピーに長く関わってきましたが、参加された方が、お花に触れているうちに表情がやわらぎ、最後には笑顔でご自分の作品を持ち帰られる姿を何度も見てきました。
お花は何も言いません。
「こうしなさい」とも言いません。
ただ、そこにいて、私たちが自分の心に気づくきっかけを与えてくれます。
毎日頑張っている方にこそ、ときには頭で考えることから少し離れて、
「私は今、どのお花に惹かれるのかな?」
そんなふうに、ご自分の心に問いかけてみていただきたいと思います。
一輪のお花からでも大丈夫です。
今日、あなたの心が惹かれるお花を、一輪選んでみませんか?
そこから、自分でも気づいていなかった小さな心の声が聞こえてくるかもしれません。
参考
青山克子 著『あなたを輝かせる花セラピー』
一般財団法人 国際花と緑のセラピー協議会

